TNRは、猫の殺処分減少の役に立ちません。

先の記事「保護猫活動の異常とTNR」では、TNRは科学的根拠がなく、間違いだらけであることを指摘しました。
なかでも、猫の殺処分に関する間違いは重大です。
今回は、そのことについて詳しく検討します。 
  *TNR:野良猫を捕獲し避妊去勢して放つこと


1.捨て猫は、TNRでは減らせない。
TNR団体のサイトには、「殺処分ゼロを目指します」「寄付金お願いします」が必ず出てきます。
「猫の殺処分はTNRによって減らせる」と強調しています。

それは大間違いです。
なぜなら殺処分される猫は、大部分が捨て猫だからです。
現在、行政が野良猫を捕獲するようなことはありません。引き取りです。
引き取られる猫の大部分は、一般人が見つけて拾って保健所などに届け出た猫です。
その80%以上が子猫です。

このような子猫、TNRで減らせますか? 人間が捨ててるんですよ。
230923s1.jpg




2.捨て猫が減ったから殺処分が減ったのです。
このグラフは、保健所などに引き取られた猫の数(引き取り数)と殺処分数の推移です。
230923s2.jpg
              
猫の引き取り数と殺処分数は、平成元年 (1989年)をピークに年々減り続けています。
昭和の頃、猫の避妊はほとんど行われておらず、大量の捨て猫が出ました。
平成以降、家猫の避妊が徐々に浸透し、捨て猫も減りはじめました。
それが、殺処分の減少につながったのです。

2000年代から、引取り数と殺処分数の減少が加速しています。
捨て猫の罰則が強化され、飼い主のマナーも向上したためです。

捨て猫が減ったから、殺処分が減ったのです。




3.TNRは殺処分減少に役に立たない!
TNRの推移を殺処分数の推移と照合すると、そのことがよく分ります。

以下のグラフの赤の実線は、TNR業界最大手の「どうぶつ基金」によるTNR実施数です。
TNR実施の総数は不明ですが、「どうぶつ基金」の実施数の何倍もあるはずです。仮に3倍とし、参考値として赤の点線で表しました。
230923s3.jpg

引き取り数と殺処分数は、TNRの実施の有無に関わらず、コンスタントに減っています。
2015年以降TNRが急激に増えましたが、殺処分数の減り方に変化はありません。
むしろTNRしていなかった時期のほうが、減り方が大きいです。

TNRが殺処分を減少させる効果はどこにも見られません。
あれだけ野良猫に多大な犠牲を強い、国民の税金と寄付金を使いながら、何の役にも立ってないのです。

ちなみに2000年代以降、引き取り数と殺処分数の開きが年々大きくなっています。
それは収容された猫の譲渡が行われ始めたからです。
収容された猫の譲渡は、目に見えて殺処分数を減らしています。



4.TNR団体のウソ
「どうぶつ基金」は、2009~2019年の殺処分の大幅な減少を、自らの野良猫の不妊手術の結果であると宣伝しています。
「殺処分数は10年で6分の1に…どうぶつ基金では…殺処分ゼロを実現するため…不妊手術を行ってきました。その結果、2009年度に165,771匹だった猫の殺処分数は、2019年度には27,108匹まで減少させることができました。」

これは大ウソです。
以下のグラフをご覧下さい。
殺処分数が飛躍的に減った2009年から2013年までの期間、どうぶつ基金はまだTNRをほとんどやってないのです。
230923s4.jpg
それは、当のどうぶつ基金が一番良く知っているはず。
やってないのに自らの成果などと、よく言えたものです。

どうぶつ基金はそのような嘘をつく一方で、殺処分ゼロのためと銘打って寄付金を募っています。「産まれてスグに殺されるそんな悲劇を0にするために

嘘をついて金集めをするのは、詐欺というものではないでしょうか?




私達は、殺処分もTNRもお断りです。
230923s5.jpg



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コメント

☘雑草Z☘

反論する積もりのコメントではありませんが・・
初めまして
>野良猫は、住む場所がなくなり年々数を減らしています。

と、書かれているのに、野良猫が避妊しないで増えた場合、住む場所が無い野良猫たちはどうなるとお考えですか?どうすべきかとお考えですか?

私は猫は飼っていませんが、野良猫に餌やりはしています。

人口については、私はこれ以上増えないために人口抑制は必要な事と考えております。日本の少子化対策は愚の骨頂で、食糧の自給率が40%足らずで、人口を増やしたら、悲惨な事になると考えています。

nora2022

Re: 反論する積もりのコメントではありませんが・・
コメントありがとうございます。
野良猫は避妊しないでも増えることはありません。
お腹の大きい猫がいれば、どうか無事に出産してほしいと祈ります。
でも流産、死産が多いです。
赤ちゃんが産まれたら、何とか育ってほしいと願います。
でも無事おとなになれるのは一匹いるかいないかです。
https://nora2022.blog.fc2.com/blog-entry-13.html
一匹でも多くおとなになれるように、出来る範囲で病気の治療もします。
https://nora2022.blog.fc2.com/blog-entry-3.html
外で生きられそうもない猫は、家猫になる道を選ばせます。

私が関っている野良猫は、うちに来る猫以外は、住宅地から離れた山沿いや海辺にいます。
住宅地には野良猫が生活できる場所がほとんど無くなりました。
周辺部には野良猫が暮らせる場所がまだあります。
そこに安住し、これ以上減らないようになってほしいと思っています。

雑草Zさんの人口抑制の考えに、私も賛成です。
でも猫口抑制は、家猫には必要ですが、野良猫にはすべきではありません。

TNR団体は金儲けのために、野良猫が増える増えると煽っているのです。
それに騙されないで下さい。

雑草Zさんは、野良猫に餌やりをされているんですね。
今後も色々と意見交換ができれば嬉しいです。

☘雑草Z☘

期待した以上にしっかりした回答有難う御座います。
猫は1歳になる前に妊娠出来、妊娠しやすいと言われますし、1度に数匹生みますから、ネズミ算的に増えて行くと思っておりました。だからTNRは仕方ない事かと考えておりました。
>野良猫は避妊しないでも増えることはありません。
は、にわかに信じられない感じです。公園で1度に10匹近く出産して子育てしている猫を見た事があります。その公園は餌やり禁止の看板がありましたが、密かに猫を応援しておりました。
 人間のように一部の動物が極端に増え過ぎるのは良く無いと考えますが、どんな動物も、生まれてきたからには天寿を全うして欲しいと思います。(危険な動物は例外ですが)

>TNR団体は金儲けのために、野良猫が増える増えると煽っているのです。

との事ですが、それは信頼に足る情報でしょうか? 儲けた金は、猫等に還元しないのでしょうか?

nora2022

Re: 期待した以上にしっかりした回答有難う御座います。
①ねずみ算式に増えるのはネズミです。
ネズミの繁殖力は、ざっと計算して猫の100倍です。
②野良猫は避妊しないでも減る一方です。捨て猫が加わって辛うじて数を保っています。
一度に10匹産まれた子猫のうち無事おとなになれたのは何匹ですか?ほとんどいないのでは?
10匹出産もまれにあると思いますが、反面妊娠できない猫、妊娠しても流産する猫も多いです。
私はこの一年余り、野良猫の生息地6箇所の調査しましたが、妊娠して無事出産して、産まれた子猫が無事おとなになれたの数えるほどです。
大都市の、人でもホームレスで生きられる環境なら事情が異なるかもしれません。
また、放し飼いの家猫とあまり変わらない野良猫も同様です。
家猫は避妊しなければ、ねずみ算的に増えます。実際、多頭崩壊は頻発しています。
上記①②については、いずれ記事を投稿します。

「人間のように一部の動物が極端に増え過ぎるのは良く無い」、全く同感です。
日本には、猫の15倍の重さの生き物が、猫の15倍もいます。
猫からすれば、「何で俺たちがTNRなんだ。人間こそTNRしろ!」って言いたいと思います。
一番「危険な動物」って人間じゃないでしょうか?

③TNR団体が(ⅰ)金儲けのために、(ⅱ) 野良猫が増える増えると煽っているは事実か?
(ⅱ)の煽っているのは、TNR団体、それに連なる保護団体のほとんどのサイトに見られます。
例えば、どうぶつ基金のねずみ算式のイラスト
https://www.doubutukikin.or.jp/activity/campaign/trntrn/
魚は何千匹の卵を生みますが増えないでしょう?
増えるのは、人が孵化させ養殖する場合です。
猫も魚も人が増やすのです。
煽るというより嘘をばらまくと言ったほうが良いかもしれません。
実際多くの人が、彼らの嘘により猫が増えやすい生き物だと思い込まされました。

(ⅰ)金儲けについて
細かい事例はいくつもありますので、いずれ記事にまとめて投稿します。
TNRの主導者というべき「どうぶつ基金」はビジネスが上手です。
ものすごい宣伝活動を行い、上手に寄付金集めします。
本文で説明した通り、、「殺処分ゼロ」などとウソをついて金集めします。
https://doubutukikin.or.jp/contribution3/

「儲けた金は、猫等に還元しないのでしょうか?」
これはありえません。どうぶつ基金の「守られているさくらねこ、愛されているさくらねこ」なんてのは大嘘で、手術したらその日のうちにポイ捨てし、後の世話なんてしません。
TNRされた猫を世話しているのは他の人達です。
雑草Zさんが餌やりしてる所に耳カットされた猫いませんか?
私が関っている野良猫たちの中にはTNRされた猫もいますよ。
保護団体もTNR団体も世話しません。私達がみています。

TNRを実行するのはどうぶつ基金の職員ではありません。
各地の保護団体に所属するボランティアです。保護活動家と言われる人たちです。
彼らはTNRを盲信し、手弁当で活動します。
どうぶつ基金は手術代を出すだけです。
もしどうぶつ基金が自前でTNRしようとすれば、職員の人件費だけで莫大です。
活動家さんたちは、うまく操られているんです。

どうぶつ基金のオーナーさんは、やり手のビジネスマンです。
勇気のある方が告発しています。
http://torikyou2013.blog.fc2.com/blog-entry-544.html
https://ameblo.jp/konekonoegao/entry-12601582837.html

一度には説明しきれません。
これから一つ一つ記事にしますので、お付き合い下さい。

雑草Zさんのブログは読み応えがありますね。
とても流し読みできる内容ではないので、時間のある時じっくりと読まさせていただきます。



☘雑草Z☘

また丁寧な長いお返事ありがとうございます。
①ねずみ算式に増えるのはネズミです。

ネズミも駆除されたりしていますから、現在日本では増えていないのでは?
ねずみ算という言葉が不適切なであれば猫もネズミも何らかの制限がなければ指数関数的に増えるでしょう。

>一度に10匹産まれた子猫のうち無事おとなになれたのは何匹ですか?ほとんどいないのでは?

実は10匹(もう少し少なかったかも知れません。)くらい産まれたのを見たのは、5年ほど前の職場の最寄りの公園でした。その後、職場が変わったので、あまり観察していませんでした。2、3年後に見に行った時は、その子猫が成長した姿と思われたのは1、2匹でした。nora2022さんは、そういうところまでよく調査されていらっしゃいますね。

>雑草Zさんが餌やりしてる所に耳カットされた猫いませんか?

私は基本的には、我が家の庭に来る猫にしか餌やりしていません。猫だけでなく、スズメをはじめ家の庭にくる野鳥などにも餌やりしていますが、世間の実態は把握しておりません。
 おそらく、nora2022さんは、かなり色々な事を把握しているのでしょう。お返事のコメントに書かれている事も、かなり実態を把握してのことと思われます。

>これから一つ一つ記事にしますので、お付き合い下さい。

私は猫は好きですが、自分の中ではもっと優先上位の事(当方のブログに書いている内容等)がありますので、そこまで猫に関わる積もりはありません。悪しからず。

Anthony

はじめまして、雑ブログ「Anthony's CAFE」の編集長です。

 大阪市内の下町での野良猫の現状をお伝えします。

 ウチの近所の公園でも野良猫が増えましたが、公園に来る有志の方々がオス猫だけに去勢をしました。

 睾丸を取り去る手術の方が費用が安いのと、メスの避妊手術だと体に負担がかかるからだそうです。

 たしかに、種付けをするオスを去勢するだけでも効果があったようで、以前は10匹以上いた猫が、今では2匹くらいしか見ません。

 僕が住んでいるマンションの近くには去勢していない家猫のオス(外出自由の)が多数いるので、そいつらが公園の方に行かないことを望むばかりです。

 外に出られる状態のオス猫の辞任手術をしない飼い主が「悪」だと思いますが、昔ながらの猫の飼い方をしている人にそれを言っても聞く耳は持っていないと思いますので、話はしていません。

 僕自身は以前猫を飼っていましたが、離婚した時に元妻が連れて行って、今は飼っていません。

 今は、自宅マンションに遊びに来る猫にだけ、猫に餌を与えています。

nora2022

Re: タイトルなし
はじめまして。Anthonyさんのブログは興味深く読ませていただいております。

次回の記事に投稿する予定ですが、私はこの1~2年野良猫の生息場所6箇所の状況を調査しました。
その結果、餌やりしている場所では確かに増えます。
しかしその増え方は、メス猫が子供を産んで増えるのではなく、捨て猫と他所から流れてくる猫がいるために増えるんです。
その場所で産まれておとなに育った猫は少なく、外からの流入がなければ減少しています。

Anthonyさんのお近くの公園の10匹以上いた猫は公園内で産まれたのか?それともよそからきたのか?
2匹に減ったというのは、死んだのか、他所に流れたのか?
なかなかわかりませんよね。

私は地方都市在住ですが、大都会の大阪では猫の住環境も違い繁殖しやすいかもしれません。
大都市は、人でもホームレスで生活できる場所もあるぐらいですので。
実際大都市にはTNR賛成の人が多いんですよ。

そのあたりは今後の検討課題になりそうです。
有益な情報有難うございました。
これからもよろしくお願いいたします。
非公開コメント

nora2022

生物化学の研究者です。猫の生態学も研究しています。

野良猫は、私達の身近にいて、野生動物の姿を見せてくれる貴重な存在です。
子猫はとても可愛いです。神出鬼没ですばしっこくて、楽しませてくれます。
野良猫は弱い者同士、助け合って生きています。愛情にあふれた、感動的な光景を見せてくれます。

野良猫は、住む場所がなくなり年々数を減らしています。
野良猫をこれ以上減らさないために、野良猫を守る取り組みをしています。

TNR反対!
(TNR:野良猫を捕獲し避妊去勢して放つこと)
特に、母猫のお腹の赤ちゃんを殺す残虐行為は断じて許せません。
テレビやネットの派手な宣伝で「TNR」は大ブームになり、野良猫は見境なく捕獲されるようになりました。
今、野良猫は存亡の危機にさらされています。

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